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人間はモノを正しく評価できるのか?実験

研究基礎データ

情報名内容
研究題目
品質評価におけるバイアス効果の分析
研究実施者
住谷 海斗
論文提出
2021年1月
論文・口頭発表
無し

梗概データ

アンカリング効果実験

実験1(オレンジジュースで騙す実験)
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「価格の低いオレンジジュース(A / セブンイレブンの果汁100オレンジ)」と「価格の高いオレンジジュース(B / 味こいしぼり)」の2種類を用意し、両方とも中身を「価格の低いオレンジジュース」に入れ替えておきます。その後、被験者には両方のオレンジジュースについて「それがどんなモノであるか?」を説明した後に、両方のオレンジジュースを試飲してもらい(片方のオレンジジュースを試飲した後はミネラルウォーターで口をゆすいでもらい、口の中をリセットします)、「味・甘味・高級感」の3項目で評価してもらいます。中身が全く同じオレンジジュースであるにも関わらず、その説明によって評価が変わってしまうか?を検証した実験です。なお、ターゲット項目は「味」「甘味」で、「高級感」はダミー項目です。

被験者属性:20代の男女8名(大学生)

Aを基準(5点)とした時のBの得点

被験者番号甘味高級感(ダミー)
1
7
5
7
2
5
3
7
3
7
9
5
4
9
8
9
5
4
4
8
6
8
7
8
7
5
6
2
8
5
5
7
実験2(ボールペンで騙す実験)
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先ほどのオレンジジュースの実験と全く同じ方法で、今度は「ボールペンの書き味」という体で中身のリフィルを入れ替えて同じものにして「インクの発色・インクののり具合・紙へのタッチ・総合的な書きやすさ」の4項目で評価実験を実施しました。芯は同じなのにインクの評価が変わるかどうかの実験です。なお、この時用いたボールペンは「A = Unistylefit ゲルインクボールペン」「B = LAMY ステュディオマットブラック」です。ターゲット項目は「インクの発色」「インクののり具合」「紙へのタッチ」で、「総合的な書きやすさ」はダミー項目です。

被験者属性:20代の男女17名

Aを基準(5点)とした時のBの得点

被験者番号発色のり具合タッチ総合(ダミー)
1
5
8
8
5
2
6
4
9
6
3
5
7
8
8
4
9
10
10
10
5
5
8
6
9
6
9
9
9
9
7
6
6
10
8
8
5
5
6
6
9
7
10
10
9
10
7
5
4
7
11
9
5
6
6
12
6
7
9
9
13
7
4
8
7
14
7
8
9
8
15
6
7
7
7
16
8
7
9
7
17
5
5
5
5
補足

騙されやすさと性格は何らかの関係があるのではないか?と思い、被験者には「谷田部ギルフォード性格検査」と「東大式エゴグラム Ver.3」を同時に実施してもらい、実験結果との比較を行いましたが、今回はそれらしい結果が出ませんでした。

アンカリングなし実験

10分で作った「モダンアートっぽい絵画」は額縁で評価が変わっちゃうか?実験
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「100円均一で買った安っすい額縁(安縁 / 110円)」と「額縁屋で買ったモダンな高い額縁(モ縁 / 4,213円)」と「装飾付きまくりの高い額縁(飾縁 / 5,527円)」の3種類を用意します。その後「10分で作ったモダンアートっぽい適当な絵(A:棒が並んだパターン/B:丸が並んだパターン/C:カラフルな三角形パターン)」を3種類用意して、それぞれの額縁にはめた3パターンの実験品を作ります。そして、被験者にはいずれかのパターンの画像を提示し、以下の指令を与えます。

  1. 「この3枚の絵を合計10万円の値段になるように値段を付けて売る」としたら、あなたはそれぞれにいくらの値段をつけますか?
  2. 売る時は額縁から抜いた状態と仮定して値段をつけてください(絵のみに値段を付ける)。
  3. なるべく全て違う値段になる様に値段を付けてください。

本当にそれぞれの絵に価値があるのであれば、どんな額縁を装着していても値段は高く設定されるはずです。

被験者情報:20代の男女126名(各パターン:42名) 実験方法:Googleフォームを利用した画像提示

実験結果の平均値(絵ベース)

絵の種類額縁の種類価格平均値標準偏差
A(棒)
安縁
2.738
1.014
モ縁
3.048
1.431
飾縁
2.429
1.364
B(丸)
安縁
2.952
1.413
モ縁
3.667
1.459
飾縁
2.810
1.469
C(カラフル)
安縁
3.881
1.685
モ縁
4.452
1.580
飾縁
4.000
1.46

絵を列、額縁を行とした時の分散分析表

因子Type III 平方和平均平方F値P値
列(絵)
125.4339
62.7169
30.1794
P < 0.001 **
行(額縁)
29.7513
14.8757
7.1582
P < 0.001 **
列×行
3.6455
0.9114
誤差
766.8333
2.0781
全体
925.6640

多重比較検定の結果

因子手法水準1水準2P値
列(絵)
Tukey
C(カラフル)
A(棒)
P < 0.001 **
C(カラフル)
B(丸)
P < 0.001 **
A(棒)
B(丸)
0.0678
行(額縁)
Tukey
安縁
モ縁
0.0101 **
安縁
飾縁
0.8138
モ縁
飾縁
0.013 **

補足

今回は比較的予想通りの結果が出ました(特に「装飾付きまくりの高い額縁」が何の効果ももたらさない点は予想通り)が、コロナ禍の影響もあり、実物ではなくGoogleフォームを使った実験になってしまったので、信憑性は若干低い気がします。